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キッズプログラミング教室開業に必要な要素(中編)

前回は「 キッズプログラミング教室開業に必要な要素(前編)」 と題して、教室や講師の確保、備品の購入などについて書いてきました。今回はプログラミング教室の要となる、クラスやカリキュラムの設計、授業料の設定について書きたいと思います。

 

4.クラスとカリキュラムの設計

ここが一番気になるところですよね。まずはクラス設計について。基本は

  • 「年齢・学年×科目」
  • 「曜日・時間帯×通学頻度」

の二つで考えます。

 多少の柔軟性はあってもよく、例えば、低学年の子が高学年のクラスにはいったりしてもいいですが、基本的にはこの二つの要素可と思います。以下クラス設計の例を示します。

 

年齢・学年×科目

  • 3歳~2、3年生:Scratch Jrや簡易なロボット
  • 2、3年生~6年生:Scratchや高度なロボット、簡易なスマホアプリ
  • 中高生:スマホアプリ、web系、ハードウェア系

曜日・時間帯×通学頻度

  • 曜日・時間帯:平日:小学生は15時半ぐらい~17時半、中高生は16時ぐらい~21時、土日は10時~21時
  • 通学頻度:隔週 or 週1(場合によっては月1なども可)

 

次はカリキュラムの設計について。これは 基本は以下の4つで考えます。

  • 1コマ当たりの時間
  • コマ数
  • 教材の開発コスト
  • 保護者の経済的負担

  

1コマ当たりの時間
 集中力などを考慮すると、基本は1時間程度が適切な時間かと思います。1時間以上の場合は、10分程度の休憩を入れる、もしくは、通学頻度を減らして隔週などにしたり、予習復習をさせることで、授業の質や学習効果を担保する必要があります。

 

コマ数
 できるだけ長く設定したいと思うころですが、キッズプログラミング教室の場合は、国語などの通常の学習科目と異なり、年単位でカリキュラムを組めるほどの教材が整っていないため、通常は3か月~6か月ぐらいが限界になると考えればいいでしょう(どのぐらいのコマ数にできるかは教科や次項に記載している教材の開発コストによります)。コマ数と適応例を以下に示します。

  1. ~6コマ:体験会や短期集中コース
  2. ~12コマ:標準(週1で3か月、隔週で半年コース)
  3. ~24コマ:標準(週1で6か月、隔週で1年コース)
  4. ~48コマ:長期(週1で1年、隔週で2年コース)

 

教材の開発コスト

 カリキュラム(特にコマ数)は、使う教材に大きく左右される為、その開発コストは重要なポイントになります。自身の経験やスキル、使える資金に合せて、適切な方法を選択したいところです。以下、主な開発方法について示します。

  1. 市販の教材を使う:開発コスト高くないが、競争力が低い(誰でもできる)
  2. オリジナルの教材を作る:開発コスト高いが、競争力がある(真似しにくい)
  3. その他:教材会社などから買う、制作を依頼する

 

保護者の経済的負担

 科目によっては何かしらのモノを別途購入する等の、受講してもらう為の費用が別途かかる場合があります。原則レンタルや共用は、

  1. 家に帰ってやりたい子が多い(予習復習にも必要、親とやりたい子もいる)
  2. 教室側の投資コストが大きくなる

ために厳しいのが現状です。以下別途購入するモノの例を示します。

  1. PC(iPhoneアプリなどはMacが必要)
  2. スマホスマホプログラミングの場合はiPhoneやアンドロイド端末が必要)
  3. ロボットその他ハード(ロボットの本体やモーター等の付属部品など)

 

5.授業料の設定

 次に気になるのが授業料です。授業料は収益に直結する為、慎重に検討する必要があります。大きくは安くするか、高くするか、という方向性がありますが、まずはそれぞれのメリット・デメリットについて記載したいと思います。

 

安い月謝
メリット:

  1. 間口を広くできる(対象顧客数の多さ)
  2. 入学率が高くなる(受注率が高い)

デメリット:

  1. すぐやめるリスクがある(退学率が高くなる)
  2. 定員を多くする必要(大型の教室、多くのコマ数が必要)
  3. 生徒のケアが大変、授業の質が低下する可能性
  4. スタッフの給与を抑える必要(退職率が高まり採用コストが嵩む、人材の質が落ちる)
  5. 結果として多くのストレスや労力が生じる

 

高い月謝

メリット:

  1. 定員が少なくとも良い(小さな教室、少ないコマ数で済む)
  2. 生徒のケアが楽、授業の質向上に集中できる

デメリット:

  1. 対象顧客が少ないため、地域で成否が決まる(地域が限られる)
  2. 教材や備品、スタッフのコストが高くなる
  3. 保護者への対応に対するストレスや労力は大きい

 

ではどのように設定すればいいのか。以下、設定する前に実施すべきことについて記載したいと思います。

 

ポリシーの決定とシミュレーションの実施
 ポリシーとはどのような考え方で運営するかということであり、シミュレーションとは収支を実際に想定して計算してみることです。要は、安いも高いも自身の思想と現実的にやっていけるか、というところのバランスによるので、まずはそこを考えてからということですね。

 

出店先の環境が変化の予測
 具体的には、周辺地域のファミリー層の増減や所得、学校の生徒数の変化、競合が出店する可能性などについて調べましょう。市場や競合の状況変化によって安くいくのか高くいくのかは違います。もちろん、安かろう悪かろうの場合は、競争激化時には価格競争に巻き込まれて厳しくなるのは言うまでもありません。

 

アンケートおよびヒアリング調査

 実際に現地の生徒や保護者に対し調査を実施、データや生声を収集しましょう。調査はワークショップを開催しながらしていくのが一番いいでしょう。

 

 授業料は、自分の想いや考えなどの主観がまずありつつ、ある程度地に足の着いた客観性を踏まえ、納得感を持てるものにすることが重要だと思います。生徒や保護者のデータや声に振り回されすぎないほうがいいでしょう(質や価格にこだわりすぎる生徒や保護者はあまり気にしすぎる必要はないと思います)。最終的には、自分がなぜその価格にしたのかきちんと他人に説明できれば理想ですが、できなくとも、なぜ納得したのかを理解できていればいいと思います。

 

 なお、我々の調査では、授業料は7000円~11000円ぐらいが妥当なのではないか、という結果が出ています。7000円以下だと収支的に厳しく、11000円以上だと他の習い事とバッティングする可能性が高いからと思われます(一般的には15000円が子ども一人あたりに使える教育費といわれています)。より詳細について知りたい方に関しては別途レポートを用意していますので、下記リンクよりお気軽にご連絡ください。

 

www.tfe.asia

 

次回「キッズプログラミング教室開業に必要な要素(後編)」では、ワークショップ(体験会)の準備について書きたいと思います。